ただし快速は通過する

申し訳程度のDTMと音ゲーと同人音楽

好きな音ゲーが仮死状態になって二年が経ちました(前編)

好きなゲームがサービス終了になった経験ってありますか。

僕はない。でも好きなゲームが今も半分死んでいる。*1

 

コナミのアーケード音楽ゲーム「MUSECA」(ミュゼカ、正確なスペルは「MÚSECA」)が2018年に更新を停止して二年が過ぎた。

 

MUSECAのゲーム内容は公式サイトをご覧いただくとして、簡単に紹介すると、

MUSECAは「イラスト要素を前面に出した音ゲー」。

「カードゲーム×音ゲー」と言えば話が早いかもしれない。

「Grafica」というカードを集めて、それを使って音ゲーをする。

MUSECAがリリースされた2015年には既に、似た要素のスマホ音ゲースクフェス」「デレステ」がリリースされていたものの、

ゲーセンに置くアーケードゲームでカードゲーム×音ゲーをやろうというのはかなり大胆だった。*2

 

僕が初めてMUSECAをプレーしたのは2015年。MUSECAが稼働を開始した年だ。

その時の感想がこれだ。 

 

 

あんまり楽しくなさそうだな。

 

とは言え、何回か遊ぶ中でGrafica集めやクオリティの高い音楽、他にない音ゲーシステムに段々とハマっていき、

 

 

  

 気が付いたら豚になっていた。

 

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参考:しおりちゃん

 

しかし世間的なMUSECAの評価はあまり良くなかった。

ニコ百科の記事がこれだ。

 

初期版のGraficaはスコアに直結していたため「Graficaを揃えないとハイスコアが出せない上に課金すれば有利になりやすい」ことに技術で勝負してきた音ゲーユーザーの不満が集中。更にガチャに過剰な反応を示した一部のユーザーによる異常なまでのバッシング活動の影響を受け、非常に前評判が悪かった。初期型のシステムも頭を使う仕様でユーザーを選ぶものであり、理解が追い付かないユーザーからは敬遠されてしまった。

テコ入れとして1+1/2を稼働させ、Grafica入手をミッション制にする、システムをなるべくシンプルにするなどしたが既に評判は地に落ちており、半年以上も更新ができない時期もあった。2017年末に最後の公募追加曲をリリースしてからまた更新されない状態が続き、最終的には2018年7月31日をもって更新を終了している。

 

要するに「カードゲーム×音ゲー」が成立しなかったのだ。

1+1/2という大型アップデートで問題は改善されたものの、稼働初期に「面白くない」というイメージが付いたゲームに人が戻るはずもなく、MUSECAは2018年に更新を終了した。

 

ところが問題はこの「更新を終了した」という表現。

実はMUSECAは「完全に稼働終了したゲーム」ではない。

細かい話は割愛するが、MUSECAには3通りの末路がある。

 

  1. 「ビシバシCHANNEL」(別のゲーム)に改造する
  2. 最終アップデートをせず稼働を終了する(サービス終了)
  3. 最終アップデートをしてオンラインでもオフラインでも稼働できるようにする

 

この③が問題。

③の場合、MUSECAをオフラインで稼働できるようになる。

オフラインならネットワークに繋がないので、ゲーセン側での稼働コストが減るが、コナミe-amusement(プレーデータ)と通信できないため、これまで遊んだデータを使うことができない。

ただしこの③、オンラインでも稼働し続けることができる。

③の状態でかつオンラインで稼働すれば、これまでのセーブデータが使えて、

集めたGraficaを使う・新しいGraficaを解禁する・曲のスコアを上げる……などができるのだ。

 

だからこのゲームは実は稼働終了のアナウンスがされていない。

「実質的に稼働終了した」と言われるが、厳密にはまだ終わっていないのだ。

 

更新はもう二度と来ないだろう。

でもゲームとしては何ら変わることなく遊ぶことができる。

 

半分死んでいて、半分生きている。

 

コナミもよくこんな残酷なプランを用意したもんだと感心するが、多くのゲームはネットワークを切断されるし、中にはオフラインでの稼働すらできず正真正銘「死んだ」ゲームもある。*3

それに比べたら良心的だ、と言う人もいる。

 

さて、僕はMUSECAを遊び続け、通算で300クレジット以上費やしていた。

 

しかし2018年8月を境に筐体を撤去するゲーセンが相次ぎ、ついに近隣のゲーセンからMUSECAが消えた。

上記の通り3つのプランがあるとは言え、実際は多くのゲーセンが②を選んだのだろう。特に当時はアーケード音ゲー群雄割拠の時代でもあり、ゲーセンは設置コストと床面積に対してかなりシビアになっていた。

 

無くなった直後は「どこかで見かけたら絶対遊ぼう」と思っていたものの、立ち寄るゲーセンにはことごとくMUSECAがいない。 

 

そして少し足を伸ばして行ける範囲から筐体が消えた時。

 

もうMUSECAのことは忘れた方がいいんじゃないかと思った。

 

きっとこの先MUSECAはどんどん消えていく。

筐体を見つけたところで、これまでのデータが使えるオンライン筐体とは限らない。

それどころか、筐体すら無くなって完全に遊べなくなる可能性だってゼロではない。

 

この先どうせ残らないものに執着してもどうしようもない。

MUSECAは完全に稼働終了したのだ、と自分に言い聞かせるようにした。

 

ボタンを叩いたり回したりする感触も、フットペダルの感触も、好きだった曲のメロディも、次第に忘れていった。

 

しおりちゃんのことも忘れていった。

 

 

 

 

 

 

時は流れて2020年。

実は2018年にこんなCDが同人で制作されていた。

MUSECAに楽曲を提供したYu_Asahinaさんが主催となり、MUSECAに参加した作曲者・イラストレーターによるアルバムが制作されたのだ。

もちろん僕は2018年にこのアルバムを買った。 

しかし聴くとまた執着してしまうような気がして、後で聴こう後で聴こうと思っているうちに二年が経ってしまった。

 

「そういえばこんなアルバムあったな」と思い、ふと聴いてみた。

 

このアルバムに入っている一部の曲は、作曲者本人の手で意図的にMUSECA収録曲に似せて作られていて、一曲目の「birth」に至ってはMUSECAに収録されている曲そのものだ。

 

soundcloud.com

 

そして5曲目、yasetaさんの「Hi-Fi Railway」を聴いた時に思った。

このゲーム面白かったなぁ、と。

 

お洒落でかっこいい音とノリの良いリズム。MUSECAに収録されている「Lo-Fi-M」をプレイした時の感触を思い出した。

小気味良い連打、ノリを引き立てるスピンオブジェクト、展開を盛り上げるキックオブジェクト。

そして「Hi-Fi Railway」に「Lo-Fi-M」のメロディが重なった時、MUSECAでしか得られない体験が走馬灯のように思い出された。

 

www.youtube.com

 

と同時に、まだやり残したことあった気がするなぁ……と思った。

まだ育て切れていないGraficaがあったかもしれない。

まだ解禁していないGraficaがあったかもしれない。

そもそもちゃんとしたプレー納めをできていなかった。

 

幸いにしてMUSECAは半分死んで半分生きている。

多くのゲーセンは筐体を撤去したが、上にも書いた通り、

 

③アップデートしオンラインでもオフラインでも稼働できるようにする

 

このプランを選び、オンラインで稼働させているゲーセンもあるはずだ。

 

公式サイトの「設置店舗一覧」から探せば、コナミと繋がっている(=まだオンライン稼働していてデータが使える)筐体があるかもしれない。

近隣には無いだろうが、関東のどこかにはあるはず。

 

まだ間に合うはずだ。

 

そう思って検索すると、

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_人人人人人人人_
> 埼玉か茨城 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

 

 

後編に続きます。

 

 

 

*1:本記事の「半分死んでいる」「仮死状態」という表現を不快に思われる方もいるかもしれない。本記事での「生死」はゲームのオンラインサービス提供状況を意味するものであり、その他の意味を含まない。その上で、キュレーター(プレイヤー)として、あえてこの言葉を使うことにご了承頂きたい。

*2:稼働初期のMUSECAはカードの性能によって音ゲーのスコアが左右される仕様で、先に挙げた2つのゲームと同様である。カードをガチャで引くという点も同様。ただしこの仕様は失敗する。後述。

*3:コナミ音ゲーでは「ビートストリーム」が2017年にサービスを終了している。こちらはオフラインでも稼働させることができず、筐体を流用して「ノスタルジア」に改造するか、筐体を撤去するかの二択となり、「ビートストリーム」は二度と遊べなくなった。また、MUSECAと似た状態のコナミ製ゲームに「スティールクロニクル」がある。MUSECA同様に稼働終了宣言はされておらずオンラインサービスを継続しているが、オフラインで稼働させることができず、多くのゲーセンから筐体を撤去されている。