ただし快速は通過する

申し訳程度のDTMと音ゲーと同人音楽

Steam版エルシャダイ(一番いいの)を買った話

 

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あの「エルシャダイ」がSteamでついに登場。

あの、と言って通じる人間は間違いなく1万4000年前の人間である。

 

エルシャダイは2011年に発売されたPS3Xbox360用ゲームだ。

エルシャダイの名を世間に広めたのはゲームシステムでもグラフィックでもなく、発売前に公開されたPVである。

そのPVがこれだ。

 

 

登場人物「ルシフェル」の、ミステリアスなセリフ。

「大丈夫だ 問題ない」と言って戦うもフルボッコにされる主人公「イーノック」。

かと思いきや時間が戻り再出撃する謎展開。

PVの内容があまりにもシュール。

これが大きな話題となり、ニコニコで東方MADやらアイマスMADやらに加工されているうちに、PVに登場する、

 

そんな装備で大丈夫か?

 

というセリフは2010年のネット流行語大賞金賞に輝いてしまった。

 

2010年当時の僕も一連のシャダイ語録にハマり、あらゆる日常生活を問題ないことにし、ここで死ぬ運命ではないことにしてきたが、ついにゲームを買うことは無かった。

理由は単純で、フルプライス払うにはあんまり面白くなさそうだったからである。

 

さて時を経て2021年。

エルシャダイを買わず、艦これで育った僕は、ウマ娘エイシンフラッシュPUガチャで必死に集めた無料石を徹底的に溶かし尽くされ、辛酸を嘗めていた。

 

「なんでもいいから普通のゲームが遊びてぇ……」

 

そんな傷心の最中に、Steam版エルシャダイの登場である。

エルシャダイは2011年に死ぬ運命ではなかったのだ。

 

この絶好のタイミングに、神は言っている……買えと。

 

さっそくSteamを開き、エルシャダイを購入することにした。

9月16日までセール対象のため、通常版が¥3,223、アートワークとサウンドトラックを同梱したデラックス版が¥3,918とほとんど差がない。

 

一番いいのを頼む

 

そう言ってデラックス版を買ったのだった。

 

なお、レビューの類は一切調べていない。

 

そんな衝動買いで大丈夫か?

 

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感想

難易度NORMALで一周終わったので印象に残ったところを。

 

【良いところ】

①美しすぎるビジュアル

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問題のPVをご覧頂ければわかる通り、エルシャダイは個性的な世界観を持っている。

マップやエネミーのデザインは独特で、神聖でありシンプルでありトライバルでもある。

グラフィック自体は10年前のもののはずだが、それでも「綺麗だな」と思わせられる。

それだけデザインのレベルが高く、タイムレスなのだと思う。

 

 

②単純操作でもちゃんと戦闘

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主要な操作は、

左スティック:移動

Aボタン:ジャンプ

Xボタン:攻撃

RBボタン:ガード

LBボタン:武器の浄化

とシンプル。トリガーボタン(RT、LT)は一切使わない。

 

ここから、

Aボタン→(少し遅らせて)Aボタン:ガード崩し攻撃

RBボタン+Aボタン:武器ごとの特殊移動

などの操作がある。

体感の操作難易度としてはスマブラくらい。

カメラ操作がないのも楽で良い。

 

ともすれば、単純操作はマンネリ戦闘になりがちだが、

エルシャダイには、三種類の武器がある。

三種類の武器ごとに適切な攻撃距離や素早さが変わり、武器ごとの特殊移動・特殊攻撃が変化する。

そしてその武器は、ダウンした敵から武器を奪うことで切り替えることができる。

よって戦闘中は、今装備している武器から、どの敵からどのように攻撃してどの武器を奪うか……を考えながら戦う必要がある。

シンプルだが、戦闘の進め方が悪いとザコ戦でも苦戦し、何度も死んでしまった。

なお体力が尽きても、ボタンを連打することで、一定回数までは「大丈夫だ 問題ない」することができる。

 

 

③BGM

買う前は全く期待していなかったが、BGMが綺麗で美しい。

これが①の魅力である世界観とよくマッチしている。

 

 

サウンドトラックは配信サイトでも購入することができるが、デラックス版を購入するとSteamでダウンロードすることができる。

一番いいのを頼むと良い。

 

 

 

【悪いところ】

①展開飛ばし過ぎやろ

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ストーリーは、一部の天使が神の知恵を盗んで堕天し、地上界で勝手してるので、主人公イーノック(とルシフェル)は神のお使いで堕天使たちを捕まえに行くというもの。

神の知恵で地上の人間たちは偽りの繁栄を遂げているが、それは神の知恵によるものであって人間の進化でも何でもないので、堕天使を排除して、地上の人間たちが自らの意志で進化できるようにするという。

つまりアーマード・コアである。

 

それは良いが、ストーリーの進行は、ステージとステージの間に挟まれる紙芝居とルシフェルの語りで進行する(上図参照)。

普通のゲームであればイベントシーンで進むようなストーリーが、エルシャダイでは多くがこの紙芝居で進行してしまう。

そのためステージとステージの繋がりが急で、ストーリーをダイジェストで観ているような感覚に陥る。

特にChapter05の堕天使バラケルは、敵を倒せた理由をまともに説明することなく語りですっ飛ばしてしまい、「よくわからない力が出たけど堕天使倒せたからオッケー!」というオチになってしまっている。

これは完全に説明放棄である。そこまでアーマード・コアしなくていい。

 

 

②人物描写不足

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また気になったのが、人物描写の不足だ。

例えば上図の人物、アルマロス。

堕天使の一人で、主人公イーノックの友人だったとされているが、イーノックと友人らしい絡みをする場面はない。戦闘中に話す場面でもあれば良かったのだが、アルマロスは堕天した時に声を失ってしまったという設定。

ストーリーではイーノックが冥界に落ちてしまい、アルマロスは友人を失って嘆く、というシーンがあるが、そんなに仲良かったのか……と、いまいち腑に落ちなかった。

 

このような描写不足は、上記の通りストーリー進行をルシフェルの語りで飛ばしてしまったことにも起因していると思う。

たとえテンポが悪くなったとしても、回想シーンの一つや二つがあっても良かったのではないだろうか。

 

【まとめ】

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PV通りの独特な世界観がやはりエルシャダイの魅力だと思う。

一方で、ストーリーと人物描写の不足のせいで、この世界観に100%没入できなかったのはとても惜しいことだ。

 

エルシャダイには設定資料集や原作小説がある。

これを読むと、天使が堕天できた理由やバラケル戦の真相、ルシフェルの思惑などがわかるようになるという。

だが個人的には、イーノックを操作して、この世界をもっと歩き回りたかったというのが本音だ。

 

10年前の当時、エルシャダイの開発は不景気などに振り回され、万全の出来で発売できなかったと聞く。

発売当時の評価は「大丈夫じゃない 問題だ」だったかもしれないが、

もし諦めなければ、より良いゲームに繋がるかもしれない。

10年の時を経て蘇ったエルシャダイは、ここで死ぬ運命ではないだろう。

 

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